
今日もまた怒ってしまった
子どもが不登校になって、怒りたくないのに怒っちゃうことってありませんか?
私は悩んでいた当時、この繰り返しをどうにかしたいと思っていました。
コントロールする方法を学び、繰り返していくことで、今では怒りがコントロールできるようになりました。
もし怒りをあなたがどうにかしたいと思っているならば、
怒りを手放すための最初の一歩は、
「怒らないようにする」ことではなく、「怒りが来たときに何をするか」を決めておくことです。
一般的な心理学・アンガーマネジメントの知識と、私の不登校の母としての実体験をもとに、今日からできることを具体的に紹介します。

まず「なぜ不登校の子どもにイライラしてしまうのか」という感情の根っこを整理したい方は、前編の記事からどうぞ。

怒りたくないのに湧き上がる「怒り」の正体とは?

まず大前提として、怒りの性質を押さえておきましょう。
怒りにはピークがある
アンガーマネジメントの研究では、諸説ありますが怒りの感情は発生から約6秒でピークに達し、その後は自然に下がっていくことが明らかになっています。
つまり「怒りたくない」という気持ちがあっても、6秒のピークを越える前に言葉や行動に出てしまうから、後悔することになる。
裏を返せば、その6秒をやり過ごせれば、冷静さを取り戻せる可能性があるということです。
怒りの裏には一次感情がある
もう一つ重要なことがあります。
怒りの裏には必ず「一次感情」があるということです。
例えば不登校の子どもに怒りが湧いたとしたら、以下のような一次感情があって怒りが湧きます。
- 子どもがまた学校を休んだ → 不安・心配・焦り
- 子どもが返事をしない → 悲しみ・孤独感・疲労感
- ゲームを何時間もしている → 心配・あきらめ・むなしさ
私が当時子どもに怒りが湧いてしまったのは、声をかけても返事もなかったことで、悲しくなってしまったからでした。
怒りは「二次感情」。
表に出る前に、一次感情が積み重なっています。
相手への色々な思いが重なるからこそ、怒りが顔を出します。
言わないようにしようと思うのに、子どもについ言ってしまう。
友人や親戚、職場仲間にはイライラをぶつけずに飲み込む人がほとんどではないでしょうか。
法人向けのアンガーマネジメント研修も行っている、日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実氏も著書の中で、
身近な対象ほど怒りは強くなる
日本アンガーマネジメント協会理事 戸田久実氏 著書『アンガーマネジメント』(日本経済新聞出版社, 2020年)
と述べています。
こちらの本はわかりやすかったのでよろしければ読んでみてくださいね。
- 怒りにはピークがあること
- 怒りは二次感情で、怒りの前に一次感情が積み重なっていること
この2つを知っておくだけで、「怒り」との向き合い方がガラッと変わります。
では、具体的な3つの方法を見ていきましょう。
怒りを爆発させない「6秒ルール」の使い方

怒りが起きた時に、そのまま反応しない訓練をします。
最初はすぐにできなくても、繰り返すことで、徐々に怒りが減っていきます。
6秒間、何をするか決めておく
「6秒やり過ごせばいい」とわかっても、実際の怒りの瞬間はあっという間です。
大切なのは、怒りが来たときに何をするかを「あらかじめ決めておく」ことです。
いくつか実践的な方法を紹介します。
【方法①】 その場を離れる
怒りを感じたら、「ちょっとトイレ行ってくる」と声に出してその場を離れる。物理的に距離をとるだけで、ピークをやり過ごせます。
【方法②】深呼吸を3回する
鼻から4秒吸って、口から8秒かけてゆっくり吐く。副交感神経が優位になり、体が落ち着いていきます。「4・8呼吸法」と呼ばれる方法です。
呼吸法は色々な方法がありますが、興奮状態は呼吸が浅くなりがちなので、「今浅くなっているな」と気がつくだけでも自分へ意識を向ける練習になります。
【方法③】心の中でカウントダウンする
「6、5、4、3、2、1」と心の中で数える。声に出さなくていい。
ただ数えることに集中するだけで、感情から意識が少し離れます。
これをするようになってから、最初はすぐに収まらなくても「私またカッとしてたなぁ」と気がつけるようになりました。
【方法④】言葉を置き換える
「また!」という言葉が出そうになったら、「今日はこうなんだね」に変える。
自分の「困る・嫌だ」という考えに意識を向けるのではなく、「相手の事情を考えてみる」ことで、カッとなる前に考えることができるようになりました。
私が実際にやりはじめたこと
私が最初に始めたのは、「その場を離れる+深呼吸」の組み合わせでした。
家事など作業しているときは、深呼吸だけでもOKとしました。
リビングで怒りを感じたら、寝室に移動してゆっくり深呼吸。
はじめたばかりの頃は「これで怒りなんて収まらない!」なんて思いました。
職場でも友人の前でも怒ることなんてなかったし、
温厚だったと思っていた自分がこんなにイライラしてしまうなんて……
今日もまた怒りが湧く自分。
「でももう少しやってみよう」と続けることにしました。
ある日、イライラしてきた時に、自分の呼吸が浅くなっていることに気がついて驚いたんです。
その時やっと、今の自分の状況を俯瞰できていることに気が付きました。
「悲しくてムカッとしちゃったんだな」
「不安になってたんだな」
「今の自分は焦っているのかも」
そんな自分の気持ちを整理できるようになってきました。
怒りが二次感情と知ったことも大きかったんです。
本当は、私を無視しないで返事を返してほしいな。
本当は、私は子どもにどんな気持ちか教えてほしかったんだな。
自分の怒りの前にある気持ちに気がつくと、
「自分の心にあった気持ち」が見えてきて、納得できた自分がいました。
まずは、怒りのピーク前に逃げ切る練習をすることが、怒りたくない自分を守る最初のステップです。
分析するだけで関わり方が変わる

子どもの困った行動にイライラするのは、その行動だけを見ているからかもしれません。
ペアレントトレーニングは、子どもの困った行動の背景を理解し、親の関わり方を見直す支援法です。
特性のあるお子さんだけでなく、不登校や情緒面の不安に悩む親子関係の改善にも効果があり、実証研究に基づいた方法として注目されています。
ペアレントトレーニングの「ABC分析」とは
「なぜ怒ってしまうのか」がわかっていても、同じ状況が続けば怒りも繰り返します。
ここで役立つのが、ペアレントトレーニングで使われるABC分析という考え方です。
| 記号 | 意味 | 例 |
| A:先行事象 | 行動の前に何があったか | 朝、起こしに行った |
| B:行動 | 子どもが何をしたか | 「わかった」と言って動かなかった |
| C:結果 | その後どうなったか | 私が怒鳴り、子どもが部屋に閉じこもった |
このABCを書き出すと、「いつも同じパターン」が見えてきます。
A(朝、起こしに行く)が続く限り、B(動かない)とC(私が怒鳴る)も繰り返されやすい。
では、Aを変えたらどうなるか?
- 「今日はどうしたい?」と前夜に確認しておく(Aを変える)
- 「動けたらすごい、動けなくてもOK」を先に伝えておく(Bへの期待値を変える)
同じ怒りの繰り返しは、「同じパターン」を繰り返しているから起きている。
パターンを分析して一つ変えるだけで、Cも少しずつ変わっていきます。
ペアレント・トレーニングについて博士(社会福祉学)、社会福祉士、社会福祉法人神戸少年の町地域小規模児童養護施設野口ホーム職員、施設長でもある野口啓示氏は書籍でこう述べています。
親も子どもも変わる必要はありません。ただ、やり方を変える。つまり親から子どもへの声掛けや接し方を変えるだけでいいのです。
むずかしい子を育てるペアレント・トレーニング【思春期編】著 野口啓示 (株)明石書店,2015年
<中略>
行動分析では、子どもの問題行動のみに注目するのではなく、行動が起こったのはどのような状況であったのか、そして、その起こった行動のあとにどのような結果が起こったのか、という一連の行動のつながりに注目します。
うまくいかなかった行動を分析することで、なぜそんな結果になったのか冷静に見つめ直すことができます。
子どもや自分が怒りの感情で対応した結果をゆっくり振り返ることで「どう関わればいいかな?」という探究心が湧いてきます。
書き出すことで「客観的に見える」
私がやっていたのは、まずノートやチラシの裏に「イライラ」を書き出すこと。
最初はただ腹が立ったことをひたすらノートやチラシの裏に書いていました。
それができたら、次に怒りが湧いたときは、ABC分析のように書いてみました。
朝9時、まだ布団にいる子どもを起こしに行った(A)。
数回声をかけても返事がなかった(B)。
つい「そろそろご飯を食べたらどうなの!」と言ってしまった(C)。
書き出すと、感情で動いていた自分と、出来事が少し分離します。
次は2回返事がないなら「食事はお腹が空いたら食べてね」と手紙を書いてみようと考えられる。
腹が立ったことを書き出すのは、紙でもスマホのメモでも、形は何でも構いません。
- 私は朝の出勤前だと焦ってしまうかもしれない
- 前日の夜に朝は作って冷蔵庫に置いておくからと伝えればよかったかもしれない
- 寝起きは本人の体調が悪くて返事ができないのかもしれない
- イライラして話しかけるから「うっとおしい」と感じたかもしれない
分析することが目的ではなく、怒りの「外側から見る目」を育てることが目的です。
同じ怒りを繰り返さないために、「パターンを知って一つ変える」ことが次のステップです。
怒リの前兆と心の余裕を守る3つの工夫

怒りには「前兆」がある
怒りが爆発する前に、必ずサインがあります。
人によって違いますが、よくある前兆サインはこんなものです。
- 体のサイン
-
肩が上がる、奥歯をかみしめる、胸がざわざわする
- 思考のサイン
-
「どうせまた…」が頭をよぎる、過去の出来事が浮かぶ
- 行動のサイン
-
動作が速くなる、ため息が増える、言葉がとがってくる
このサインに「早めに気づく」だけで、6秒ルールを使う余地ができます。
自分の前兆サインを知っておくのは、怒りの「早期警戒システム」を持つようなものです。
心の余裕を守る3つの工夫
怒りやすくなる日は、決まって「心に余裕がない日」です。
余裕がないのは、あなたが弱いからではなく、消耗し続けているから。
【工夫①】一人の時間を15分だけ確保する
子どもが寝た後でも、起きる前の時間でも。「自分のためだけの15分」を意識的につくる。コーヒーを飲む、好きな音楽を聴く、それだけでいい。
【工夫②】「今日できたこと」を1つ見つける
できなかったことではなく、「今日できた小さなこと」に目を向ける習慣をつける。「ご飯を作れた」「子どもに話しかけられた」でも十分です。
【工夫③】「今日は怒った。でもそれで終わり」と決める
怒ってしまった日の夜に、ずっと引きずらない。「今日は怒った。明日また考えよう」でいい。自己嫌悪を翌日まで持ち越さないことが、次の日の余裕を作ります。
自己嫌悪の持ち越し方
こんな風に考えることはありませんか?

今日も怒ってしまった。なんて最低な母親なんだろう
自分を責めながら、なかなか眠れずに翌朝を迎える
→ 疲労が蓄積し、翌日さらに怒りやすくなる。

今日は怒っちゃったな。でも明日また試してみよう
今日のことは区切りをつけて、眠ることにする。
→少しの休息が翌日の余裕になっていく。
自分を責め続けても、子どもへの対応は変わりません。
今夜から「今日はここまで」と決めることが、明日の余裕を作ります。
まとめ:まずはできることを1つだけ
まずはできることから1つだけはじめてみませんか?
うまくいかない日も、ここまで記事を読んでいるあなたは十分やっています。
今日お伝えした「怒りたくないのに怒ってしまう繰り返しを断ち切る3つの方法」をまとめます。
- 6秒ルール:怒りのピーク前に「逃げ場」を決めておく(その場を離れる・深呼吸・カウントダウン)
- ABC分析:繰り返す怒りのパターンを書き出して、行動を変えてみる
- 前兆サインと余裕の確保:サインに早めに気づき、一人の時間を15分だけ守る
全部やろうとしなくていいです。
まず1つだけ、試してみてください。6秒、深呼吸だけでもいい。
うまくいかない日もあります。また怒ってしまう日もある。それでも、「怒りたくない」と思い続けているあなたは、十分やっています。
怒りの「根っこ」から整理したい方へ
この記事では「怒りが来たときの対処法」を扱いました。
「そもそもなぜこんなにイライラするのか、気持ちの整理から始めたい」という方は、こちらの記事をどうぞ。
▼不登校の子どもにイライラしてしまうのはなぜ?怒りの正体を知って自己嫌悪を手放す3つの視点

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